身近な住宅地にも不審者が出没するなど何かと物騒な今日この頃、わが家にも押し売りか詐欺師らしい怪しげな輩が侵入することが稀にあったことから、自宅の防犯対策(home security)を見直した。まず門扉と玄関前に「(関係者以外)立入禁止」の張り紙を掲げた。パソコンで作成、印刷した警告文を透明な袋で防水した手作りポスターだが、これが意外に効いたかそれ以降、不審者は入ってこない。この家の住人は用心深いと敵にまず思い知らせることが肝要だ。
次に人感センサーライトを敷地内の複数箇所に設置した。ネット通販で取り寄せた乾電池式の安価な製品だが、センサーの感度が良く(sensitive)、LEDライトだから電池がかなり持つ。わが家はもともと玄関灯が夜間自動点灯するようになっているが、一晩中煌々と輝いては隣家に迷惑がかかるので今以上に明るくできない。その点、人の動きを検知した瞬間に十数秒ほど点灯する防犯灯を追加したくらいなら問題無い。
終いには監視カメラ(monitoring camera)まで設置した。wi-fiでネットに接続してスマートホンで設定・操作できる。これも数千円程度の低価格品だが、動体検知センサー(motion detector)の感度は上々で、かなり広い範囲が画面に映し出される。汎用品のメモリカード(別売)を入れると、検知した動体の映像を逐一、撮影日時と共に記録してくれる。昔ならカメラにモニター、録画装置一式を揃えたら相当の物入りだったはずだが、総額1万円弱で防犯システムが整った。
監視カメラなんぞ自分には無用の長物と思っていたが、設置してみると意外に使い勝手が良い。2階にいることが多い私は、いちいち階下に降りてドア越しに覗かなくても屋外の様子や来訪者の姿を直ちに手元で見て状況判断、対処できる。外出中もいつどこでも(anytime, anywhere)自宅の玄関前の状況をリアルタイムまたは録画映像で監視できる。この種のネットワークカメラは防犯用途以外にも幼児や要介護者、留守中のペットなどを見守るのに役立ちそうだ。
もっともこれまで録画された映像に映っていたのは、手紙や荷物の配達人以外は戸締りやゴミを捨てに出入りする私自身の姿と、たまに見回りに来る近所の飼い猫くらいだ。風が強い日には庭木の枝の動きにもセンサーが反応して通知音が鳴るのは困ったものだが、それも安全の代償として手間暇を惜しまないことにした。
(『財界』2021年12月8日号掲載)【注】本稿で取り上げた英語表現については筆者ブログに解説記事を載せてあるのでクリックしてご参照ください。→ motion detector 【動体検知器、動体検知センサー】